こんにちは、皆さんは日本各地の飛行場で多くのエアショーが毎年行われているのはご存知ですか?知名度が高いのは自衛隊や米軍のオープンハウスですが、それ以外にも場外離着陸場や地域のイベントなどがあります。これらのショーはセスナ、FA-200、WAKOなど小さな飛行機たちがフライトを行っていますが、なんと言ってもショーの主役はエクストラ300SやピッツS-2Bによるアエロバティックスです。私はレッドブルアスリートの室屋義秀を追っかけていますので、今秋行われた室屋のエアショーをどのように撮影しているか、少しですが話したいと思います。
エアショー当日はパイロットと一緒に飛行場へ入り、飛行の準備を手伝います。パイロットがブリーフィングで、タイムテーブル、安全運行、気象などの確認を行っている時に、もっぱら機体を拭いています。これは、写真撮影には欠かせない大切な仕事です。室屋の飛行機は上面が紺色なので、機体が太陽の光を反射した時に汚れた部分が良く判ってしまいます。それを避けるためのお掃除なのです。この作業が終われば写真撮影に集中します。
私たちカメラマンは常にパイロットの要求に応えられるような写真を撮らなければなりません。そこで重要なのは、“カッコイイ”写真は勿論、どこでどのような事が行われたかを明確に示す事です。的確にその場所を示すことができるランドマークなどがあれば良いのですが、厄介なことに飛行場は何処も彼処も似たようなロケーションなので、そこが最も苦労するところです。ですから前日に飛行場の周辺で、予定されている飛行時刻にロケハンを行い撮影の参考にしたり、ショーで使用された小物などを写真に写しこむようにしています。例として数点挙げますが、8月に行われた岡山県笠岡市にある笠岡農道空港で行われた「大空と大地のひまわりカーニバル」では、ひまわり畑と黄色のWAKOをからめてみました。9月の北海道の紋別市での「スカイフェスティバル」というイベントでは、会場に隣接するオホーツクとっかりセンターで室屋の飛行時間に合わせて、アザラシとスタッフさん達の3ショットを試してみました。このように常に会場に居座るのではなく、会場から離れたところにまで目を向けると、普段と違った写真が撮れるのではないでしょうか。
皆さんもエアショーが間近に迫ってくると、機材の清掃をしながら、どんな構図で、どんな写真を撮ろうかなとあれこれ考えると思います。そしてチェックするのは週末の天気予報ですよね。私は1週間前から毎日、チェックしています。それと事前に飛行場の立地を確認し、撮影に適した場所を調べておきます。ここまではとても楽しい時を過ごすことができるのですが、現地に到着すると私を待っていたのは曇り空・・・・・・ということが多々あります。そうなってしまうと憂鬱ですよね。現地に集まったチーム内で、誰のせいで天気が悪いのかと雨男のレッテルを貼る生贄探しが始まります。最終的に室屋の「たろーさんが来ると、いつも天気悪いよね。」の一言で私が悪者になってしまいます。結局、天気は自然の気まぐれで、誰が悪い訳でもないのですが、チームの中では「タローウェザー」なるものが存在していて、一日を通して晴れでも、室屋のフライトの場面だけ太陽が雲の中に入ってしまったりするなど、撮影にはあまり好ましくない状況が生まれることを言うのだそうです。
飛行機写真の撮影で重要な要素は“太陽光があるかないか”これによって撮影スタイルを変えたり、場所を変えたりと様々な対策を立てなければなりません。基本的に太陽を背にする形で順光側にポジションを取るのですが、滑走路の方位などによっては思うようにいかないことも沢山あります。そんな時は神頼みです。逆光でも大気の状態や雲の表情でドラマチックな撮影もできるので、遠くにある雲を見ながら“あの雲が大きくならないか”とか、“雲が太陽を隠さないかな”などと希望的観測をしたりしています。だからと言ってどうこうなる訳ではないので、露出を工夫するなどして撮れるものを撮るしかないのが実情です。
フライトを撮影するときに自分が気をつけていることは、“欲張らない”ことです。例えば一人で複数のカメラを使い分けて一つのシーンを撮影する時など、どうしても2種類の構図が必要な場合、望遠レンズを使用した後に広角レンズを使うなどカメラを持ち替えて撮影するとします。カメラを持ち替えるということは、一瞬とはいえ被写体から目を離すことになってしまいます。飛行機はゆっくり飛んでいるように見えても時速200km以上で飛んでいますから、構図を作る時間を失いがちで、思うような写真を撮れない可能性もあります。ですから、一度に全てを撮ろうとは思わずに、融通の利きにくい広角レンズを優先的に使用し、その後、同じようなシーンを見つけて望遠レンズで撮影すると、思ったような写真ができ易くなると思います。常にどんな写真が撮りたいかをご自身で考えることによって、レンズ選択のミスなど減ります。実はズームレンズでも同じことが言えるので、むやみにズーミングをするよりは、単焦点のレンズのつもりで使用した方が良いと思います。
今回は私が撮影で失敗しないように考えている事をお話しましたが、今週末に行われるオートボルテージュで参考にしていただけたら嬉しく思います。
ツインリンクもてぎのグランドスタンドは南北に伸びているので、午前中は少々逆光ですが、午後からは順光になります。しかも山の中にあるので空気も綺麗、何よりも秋のやわらかくなり始めた太陽光が機体の曲面までもしっかりと表現してくれます。午後の斜光は色温度が高くなるので、嫌うカメラマンもいますが、私は一つの色にも多くのディテールをもたらしてくれるツインリンクもてぎの光は大好きです。
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| 正面に太陽があり、撮影には不向きな条件だが、シャッター優先モードで思い切ってマイナス補正をかけてみた。 | 逆光だが、太陽が雲の陰に入ったことで、ドラマチックな表情を見せてくれた。 | 背面飛行から引き起こす室屋のエクストラ300S、青い空と白い雲にトーンの違うスモークでアクセントをつけてみた。 |
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| ローパスで会場を航過する室屋。オートフォーカスでの撮影だが、シャッターを押し続けるとピントがしっかりと合わなくなるので、ファインダーできっちり像を確認しながら写したい。 | 紋別のオホーツクタワーをバックに飛行する室屋。望遠系と広角系で写してみた。 | |
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| 会場の近くにはエアショーに関係なくても地域を代表する施設などがある。飛行機の写真ばかりを撮るのではなく他のものを主題として、そこに飛行機を取り込む手法もある。紋別のオホーツクとっかりセンターにて。 | バレルロールを行う奥貫パイロット操縦のFA-200。富士重工製のこの飛行機はエクストラやピッツの激しいアクロとは対照的に、スローテンポでゆったりとした演技を見せてくれる。 | ふくしまスカイパークのイベント「エアロスピリッツ2008」のオープニングを飾った室屋の乗るピッツS-2B。現在、ふくしまスカイパークは日本で最も、アエロバティックスが盛んなエアフィールドだ。 |
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